河内風穴ガイドと報告

報告者:藤本賢司

※太線アンダーライン箇所はマークを配置すべきである。
※名称に関しては部内固有のものが数多くあり、くれぐれも注意していただきたい。
  

 1.ガイド

・洞口〜2水
 洞口までは歩道がついているので迷うことはない。洞口から鉄柵までは観光道が続いており、電灯と歩道がきちんと整備されている。手すりもあるが、僕らケイバーが汚れた手で触れることは許されない。これは主に洞内で泥まみれになった復路の場合であるが、例外的に往路から汚れている人は、行きでも触れてはならない。2月に行ったときは洞口付近の歩道が凍っていて大変危険であった。少し奥に行くと気温も安定し、氷も消える。はしごを登り右に曲がっていくと、「キケンこれより奥に入らないで下さい」の鉄柵が現れる。

 ようこそ地底人の世界へ。ここからは真っ暗。そして汚れることを嫌っていては奥まで進めない。鉄柵のすぐ前に早速三つ又の分岐がある。右に大きな穴が一つ、真ん中に細い穴が一つ、左に見えにくいけど上部に続く穴が一つ。正解は左。真ん中はすぐせまくなりどんづまり、右はしばらく奥に行くと急激にせまくなり進めない。左の穴はすなわちドンガラガンで、這い上がるようにこの細い穴を進んでいくと、ドンガラガンの分岐に出る。この間は途中に細い私道っぽいのがあるが、荷揚げが大変なだけで基本的に道なりに行けば分かりやすいので問題はない。ドンガラガンからは、観光洞の上層へ通じる下向きの穴(行っちゃだめ。観光客を驚かせてはいけない)と反対方向にボア・パッセージ状のヴァージンロード(右)と広いスペース@(左)がある。この右のヴァージンロードが正しいルート。突き当たりに平たい裂け目(ヒラメ)があり、初めてきたときには、洞窟ではこんなところを通るのかと洗礼を受けたものだ。

 ここからも狭い空間がしばらく続き、シアターホールに通じている。シアターホール入り口からは、出て左の方に進み、大きな一枚岩(ぬりかべ)を右手に見て、左に2本、右にやや上に登る道1本ある分岐(ぬりかべの分岐)の真ん中を行く。ぬりかべの天井にはコキクガシラコウモリの群生エリアがある。はっきり言って気持ち悪い。特徴のない穴を少し進むと、すぐにドリームホール入り口に到着。ドリームホールは全体としてやや登りで、始めは左よりを進み、大きな一枚岩を越えてからはやや右よりを通ると歩きやすい。ドリームホール終着からは、上部に2つ、下部に2つの穴があいている。岩の隙間により形成された穴で、どこに入ってもすぐ先で繋がる。ここは帰りではいくつも分岐があるように感じられるが、どこを通ってもドリームホールに行き着くことになる。またドリームホール終着をさらに上に上り詰めたところに馬場門への穴がぽっかりあいている。

 ドリームホール終着から、またせまくて通りにくい穴が続くと、神の手の分岐が待ち受けている。道なりの左に続く穴と、右に斜めの岩の隙間を越えていく穴がある。左に行くと濡れクラックを通りガマへ。だが右に行けば、難なくガマへ行ける。神の手の分岐はガマで合流する。さて次はこのガマの分岐だ。吉本クラック・クラックワープ・玉座への裏道の3つの穴がある。ガマ向かって正面の比較的大きい穴が吉本クラックで、クラックを降りるルート。クラックを降りるため少々危険。吉本クラックの左手にある下の小さい穴がクラックワープ(復路)。狭い穴だが、足もすぐに底につき、簡単にクラック下に降りれる。ただし荷物は通らないので、一人がここから降りて、吉本クラックから荷物を受け渡すのが賢い方法。玉座への裏道は多少登り降りがあるが、比較的楽に玉座の手前のジブリ石柱1の横の穴に合流する。

 クラックのすぐ奥が帰り道の難所、サメの歯になっている。サメの歯をちょっと奥に行くと、藤本私道との分岐がある。右にあがる穴が藤本私道で登らなければならない上に降りてこなければならないのでしんどい。左の穴が正規ルート。藤本私道との合流地点を越えると、腐海を連想させるジブリ石柱1が現れる。そしてそのすぐ奥が玉座の間だ。玉座の間は、正規の帰り道のジブリ石柱1を中心に、玉座から見て左に横穴一つ、右にガマの石に着くやや登りの穴(裏道)一つ、玉座の背もたれの方向に降りていくマジックフレークの穴(美和ホールに続く)が一つ、玉座の正面に向かう道が一つ、計5つルートがある。最奥へは玉座の正面のルートを行く。するとすぐに和式の穴が待ち構えている。奥に道なりに広いスペースが続いているが、迷わず和式の穴に入ろう。奥の穴の対面にも斜め下に降りていくスペースがある。手前にチューブ状の垂直穴があり、ボットンという。和式・ボットン・洋式(玉座)の三つを合わせてトイレ三地点と呼ばれている。

 和式を降りていくと、そこが石切場になっている。ここは道なりと右に道が分かれている。石切場は高いところにあり、見落としやすいのでここはマークを2枚置く。上下から髭のように鍾乳石が伸びているエリアを越え、大きい岩がごろごろしているエリアを通過し、ドラゴンの水溜りに行き着く。ここは左をへつって進む。長靴だったら正面突破も可能。少し行くと1水の入り口に着く。1水へは3つ下へ降りる穴があり、奥に向かって一番左にある穴が通称立命落とし、ここが1水へのメインルート。1水には降りずまっすぐ行くと、わりと広めの穴が続き、ナチュラルダンコンの分岐(ナチュダンの分岐)がある。右に穴がいくつかのびているが、まっすぐに穴なりに進もう。すると38の分岐に出る。増水時だとこの辺りは川が流れる。38の分岐の特徴は割りと広めの小ホールになっていて、中央部に黒い穴(ベンキ・オブ・コタロー)が確認できることだ。38の分岐では、向かって右に順番に正規ルートではない顕著な穴が一つ、小さい穴が一つ、斜め上に続くボアパッセージが一つ、そして左に最も大きな横に進む穴が一つ。正解は左の穴。右の穴はいずれも、複雑につながっており、ナチュラルダンコンの分岐の右の道の方にもつながっている。このあたりは何層にも穴が入り組んでいて非常に複雑だ。この右から二つ目の穴の奥にメインダンコンがある。さて、正規の左の穴を進むと、ラピュタの細道を通り(ここには滑り台がある)、2水の分岐にたどり着く。1水・2水間は基本的に左、左が河内のセオリーらしいが、ここは右を行く。左の裂け目を行くと、天井の低い水溜りを這って2水に着くコースとなる(俗称2水への裏道)。各探検部の新入生いびりの定番コース。右を行くと、左手にアームズの間、奥左から鍾乳石の穴、足跡の穴がある。迷わずアームズの間を降りていくと2水だ。不気味に2水へ続く細い細いクレイジーな穴が下に続いている。

・2水〜最奥
 2水の穴には入らずに奥に行くと、ヌメリ感が増すわりと広めの穴が奥に続く。すると、左右に分かれる滝の分岐が現れる。結果的にすぐ先でつながるのだが、左は天井が低く、鍾乳石が発達している。右は青く光る綺麗な滝のような鍾乳石が見られる。右がおそらく正規ルート。少し行くと、初号機の分岐に出くわす。穴なりに左に行く。次はリムストーンの分岐だ。左の穴にリムストーンが発達しており、ロープで立ち入り禁止となっている。ここのリムストーンは見事だ。当然右を行くのだが、すぐ先で合流する。右の穴の途中で鍾乳石の織り成すつくしの間が拝める。

 この先には、水越えがたちはばかるが、なんとか右から左奥へ、水溜りを突破し、進むと鐘の鳴る池に到着する。ここは河内の名所で大変美しい。鐘の鳴る池は、池を突破して奥に行くルート(森の間に続く)と池を左に巻いて奥に行くルートに分かれている。が、森の間へのルートはロープで封鎖されているので、左から行く。しばらくいくとかぼちゃの分岐があり、左右に分かれている。左は狭いところを這うルートで、水が多いときは水で閉ざされていることがある。右は攀じ登るルート。いずれにせよ先のキャンドルの間で合流する。ここから穴なりに奥に行くと、右手にロープに囲まれた鍾乳石群イッツアスモールワールドが見える。イッツアスモールワールドの手前をロープをくぐって進むと森の間に続く。ロープをくぐらずに進めば、イザナギの分岐にでる。ここが最後の分岐。真ん中奥を進むと最奥に到着。最奥は一番奥にある地点というだけで、なんていうことはないところで、ここが最奥だと言われなければわかりにくい。


  2.報告
・森の間・眠れるコウモリ
 先ほどの森の間の分岐を右(帰りでは向かって左)に降りていき、さらに分岐(コウモリの分岐)を左に進んで奥にいくと、そこは鍾乳石の楽園、森の間だ。繊細な鍾乳石が天井一面に発達しているので、ヘルメットで折らないように細心の注意が必要だ。突き当たりはロープが張られていて、これ以上奥へはいけなくなる。入るとどうしても折れてしまうというのが理由。ロープを張った人間がうらやましい。もと来た穴を戻り、コウモリの分岐を向かって左に進む。しばらくぬめぬめした穴が続き、途中ずっと水がはっている。普段はこんなに水が多くなく、今日は水深が高いようだ。ここをさらに進めば鐘の鳴る池の池突破コースに繋がっている。水溜りの左をへつって少し行くと、壁に「コウモリの天然剥製」がある。壁に止まったコウモリが、水によって溶けた石灰石にうすく覆われ、さながら剥製のような姿を呈している。見ていると妙な心持にさせられる。藤本・こたろは腕のパンプと戦いながらしばし見とれていた(普段は水もなく、へつらなくても見れるらしい)。

・2水
 もと来た穴を引き返し、森の間の分岐にでる。さらにルート確認・マーク回収をしながら2水まで戻ってきた。まずリベンジに萌える藤本が身体を挿入。そして難なく到達。あぁ、佐目のコウモリ穴での私道探索で、いつのまにか穴レベルが上がっていたのだなぁ、しみじみ。穴と友達になることで、恐怖感はなくなるのだよ。続いて、こたろ・吉本・藤森さんと降りてくる。2水はなんというかすばらしい。入り口の細さとは対象に中の空間は雄大だ。流れる清流もすがすがしい。男3人は儀式を終え、表情が和らぐ。2水入り口から左右に分岐があり、左に行くと上流側、右に行くと下流側に出る。下流側の方が圧倒的に広く、かの水流下りの出廷地点でもあるらしい。一通り遊び終え、穴を這い上がり戻る。

・1水
 マークを回収しつつ、行きのルートを忠実にたどり、1水の穴に出る。立命落としを、チムニーっぽく手足をつっぱて降りていく。おりて右に進むと、1水へおりる別の2つの穴が右上のそびえている。この穴を右に見つつ、左の狭い穴を進んでいく。途中細かい穴があり、マークは必要。3枚しか持っていかず、失敗した。執拗に後ろを振り返りながら進む。すると3水の分岐が現れる。左には水溜りがあり、それを越えていくと3水。3水への道のりは遠く、濡れるコースなので今回は断念。3水の分岐を右に進み、1水に到着する。1水もかなり広く、水流も強い。少し下流へ沢登りのように流れの中を進み、探索してみた。ここも奥Iは複雑に入り組んでいて奥まで繋がっていて、探検欲をそそられる。余りにも奥行きがあり、時間もないので適当に引き返す。
参神殿・美和ホール

 穴を引き返し、立命落としから這い上がる。今までと同様に引き返し、石切場まで戻る。石切場の右(帰りは向かって左)の分岐へ、参神殿から降りてくる穴があるということなので、マークを残し、石切場を上がる。和式の中から這い出て、洋式(玉座)の方には行かず、そのまままっすぐボットンの方へ進む。当然ボットンには落ちずに、奥の穴へ進む。これが参神殿への入り口。少し行くと分岐(参神殿の分岐)でまっすぐ行く穴と、左下へ降りる穴がある。左下への穴が参神殿へと続く。この穴は落差が大きく、降りるのにてこずる。この下が参神殿。参神殿は神秘的な空間で、鍾乳石がひしめき合っている。顕著なカーテンも舞い降りていて、裏から白色光をあてると、橙色に淡く輝く。まさにカーテンのようだ。さらに薄いものを、ベーコンと呼ぶ。確かに、色合いといい質といい、ほんのり焼けたベーコンのようでもある。戻って参神殿の分岐をまっすぐ行くと、美和ホールが待っている。美和ホールは相当広いホールだが、河内にあってはシアター・ドリームのせいで見劣りしてしまう。美和ホールの突き当たりに穴が一つJ、その左にゆかしい穴が一つ(らせん穴)、その他にも小さな穴が複数ある。藤本・吉本待機で、藤森さん・こたろがJの穴を偵察。が、違う穴で引き返してくる。次に同様に、入り口がらせん状になっているらせん穴を偵察し、奥に石切場のマークを発見。この穴はどうも見覚えがあるなと思っていたら、石切場に着いて全てが氷解。前回迷って迫りくる恐怖を押しやりながら、辿った穴であったことよ。このまま、石切場を越え、残置していた荷物を回収し、地上へ戻る。